医療人類学を学ぶために

「ステロイドと「患者の知」:アトピー性皮膚炎のエスノグラフィー」
牛山美穂(著)/新曜社/2015年/¥2,100+税
- 関連する医学分野:
- 皮膚科
- 想定される読者:
- 実践者にお勧め(予備知識がなくても読める)
- 内容紹介:
◆ステロイドをどう考えたらよいのか?
アトピー性皮膚炎には根本的な治療法がなく、通常対症療法としてステロイド薬が処方されます。しかしステロイドには副作用があり、とくに長期間使用した後で中止したときのリバウンドは激しい症状の悪化を引き起こすことがあります。そのため「ステロイドを使用しない」医療や民間療法が盛んになりました。ステロイドを嫌がるのは、患者の「愚かな行動」なのでしょうか、それとも「尊重すべき患者の選択」なのでしょうか。医学の専門知では治すことのできない病気を抱えた患者自身の経験=「患者の知」を、どう医療に活かしていけるのでしょうか。自らがアトピー性皮膚炎に苦しんだ著者は、日本とイギリスで患者、医者、民間療法家、患者団体への綿密な調査を行い、この問いを探求します。