医療人類学を学ぶために

「身体と境界の人類学」
浮ヶ谷幸代(著)/春風社/2010年/¥2,200+税
関連する医学分野:
精神医療(性同一性障害、統合失調症、認知症)、移植医療、糖尿病医療、看護学(糖尿病、死化粧)、栄養学
想定される読者:
学部生にお勧め(優しい)
内容紹介:

本書は、著者が長年にわたって非常勤講師として講義してきた内容を学部生向けのテキストとしてまとめたものである。講義名は「身体の社会学」(武蔵大学)「生命と身体の社会学」(立教大学)である。臓器移植や精神の病い、糖尿病、性同一性障害、認知症などのトピックスを例に、現代医療の現場で起こっているできごとを、人類学者M.ダグラスの境界理論と哲学者M.フーコーの権力論をベースにおいて読み解いたものである。他者と分離独立した身体としてしか見えない自分の身体が、いつのまにか他者とつながりをもち、他者の身体と交流しつつ息づくさまを描き出している。普段は「たかが身体、されど身体」という認識でしかないが、自己と他者、男と女、生と死などの境界を横断する身体の不思議さにいつの間にか魅了させられるような構成になっている。生物学的身体や生理学的身体としてのみ身体を想像している医療系の学生には、とりわけ目からウロコの必読書となるかもしれない。